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予防医学教室では、主に疫学(えきがく)の手法を用いて、がんや生活習慣病の危険因子・防御因子を明らかにし、疾病予防に役立てることを目標としています。医学においては、患者さんの治療を行う臨床医学が中心ですが、誰でも好んで手術などの治療を受けたり、薬を飲んだりする事はないと思います。できるならば大きな病気にかかる事なく、健やかに暮らしていきたいと考えておられる方が大半でしょう。この様な病気の予防のために、どの様な要因(たとえば生活習慣)が望ましいか、あるいは望ましくないのかを科学的に検証する必要があり、このために私たちが行っているのが疫学研究です。疫学研究では、動物ではなくヒトを対象として調査を行い、たとえば病気にかかった人とかかっていない人でどの様な生活習慣に違いが見られるのか、あるいはある生活習慣を持つ人と持たない人で病気のかかりやすさにどの程度差が見られるのかを調べます。この様にして得られた結果は直接ヒトに関わるものであり、動物実験などで得られる結果と比べて、理解しやすいという利点があります。
現在、私どもの教室には様々な背景を持つ教室員が在籍しており、たとえば医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、体育学部出身者などです。教室員が持つ興味は様々ですが、それぞれが興味を持つテーマで研究を進めてもらっており、一人一人の自発性を尊重しています。この多様性は他の基礎医学系教室では見られない特徴と考えています。ある健康問題に対して、上記の疫学的手法ばかりでなく、必要であれば実験を含む様々な手法を駆使して研究を掘り下げ、最終的にはその健康問題に対して何らかの解決法を提示できるだけの能力を身につけてもらう事を希望しています。私どもの教室で身につける事のできる技術としては、疫学研究の企画と実施、調査票の作成、統計解析、遺伝子多型の解析、肥満・身体活動量の評価、運動負荷試験、生活習慣病に対する運動療法などがあります。各教員が分担して、それぞれの得意とする分野から指導を行っています。
皆さんのご参加をお待ちしております。