この部門は地域保健科学講座として昭和55年4月にスタートした。初代教員は、教授・西住昌裕(平成12年退官、本学名誉教授へ)、助教授・徳留信寛(平成4年2月、名古屋市立大学公衆衛生学教授へ)、助手・熊谷秋三(昭和56年着任、平成4年九州大学健康科学センター講師へ)であった。歴代教員は、庄野菜穂子(平成2年着任、平成17年ライフスタイル医科学研究所へ)、森満(平成5年着任、平成11年札幌医科大学公衆衛生学教授へ)、桧垣靖樹(平成5年着任、平成20年福岡大学スポーツ科学部准教授へ)、島ノ江千里(平成26年着任、平成30年佐賀大学医学部附属病院 臨床研究センター 特任准教授へ)である。平成15年に社会医学講座予防医学分野に改編した。
現教員は、教授の田中恵太郎(平成12年着任)、准教授の原めぐみ(平成13年着任)、講師の西田裕一郎(平成20年着任)の3人で、環境分野を含めた事務員(主任)として渕上美由紀、技術専門職員として堀田美加子が所属している。また、大学院生として、古川拓馬、古賀佳代子、岩坂知治がいる。この間大学院を修了したのは、原めぐみ(医学博士平成13年、佐賀大学講師)、坂本龍彦(医学博士平成19年、福岡県保健福祉部)、今泉猛(医学博士平成22年、佐賀大学附属病院)、田口尚人(医学博士平成22年、豊栄加齢研究所)、中村和代(医学博士平成23年、聖マリア学院大学教授)、南里妃名子(医学博士平成23年、昭和大学助教)、島ノ江千里(医学博士平成26年、佐賀大学助教)、大塚康子(医学部平成26年卒、長崎県)、荒木薫(医学博士平成30年、佐賀大学保健管理センター助教)である。
研究面では主に疫学手法を用いて癌や生活習慣病の危険因子・防御因子を明らかにし、疾病予防に役立てることを目指している。最近の研究としては日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Studyジェイミックスタディ)に参加し佐賀市民約12,000人(全国では10万人を目標)20年間にわたって追跡し歳活習慣と遺伝的素因(遺伝子多型)が相互的に癌などの生活習慣病の発生に及ぼす影響の検討を進めている。また、佐賀県に高率の肝臓がんの危険因子と予防対策に関する研究を行い、環境要因(肝炎ウイルス・飲酒・喫煙など)と候補遺伝子多型(薬物代謝酵素・サイトカインなど)が相互的に肝発癌に及ぼす影響の検討を行うとともに、佐賀県における肝臓がん対策の評価を実施した。この他、運動が生活習慣表の予防や改善に及ぼす影響についての研究、高齢者の寝たきり予防のための研究、さらにはインフルエンザワクチンの有効性の評価に関する研究や未成年者や妊産婦の喫煙対策に関する研究を実施し、県・市町の保健関係者と共同して研究や疾病対策を推進している。
医学科4年時の「社会医学ユニット」としてPBL(Problem-based learning)、「社会医学実習」を実施している。6年時の選択コースでは2つのテーマ(疫学的研究の実際、生活習慣病への問題解決型アプローチ)を提示しより専門的な内容についての学習機会を与えている。この他、看護学科2年時に開講されている「地域保健と疫学」、医科学修士課程学生に開講されている「社会・予防医学概論」・「環境・衛生・疫学特論」、博士課程学生に開講されている「予防医学特論」などの講義を担当している。